ぼくはある時期からSNS、特にXからは距離を置いていた。

その理由は、モノを作る人間がみんなその時々のタイムラインの空気を読みながら、何がウケるかをその時々で考えて刹那的なものを作ることに終始している光景を見て、この流れに乗ってはいけないと直感的に思ったからだ。

象徴的だった現象は、バレンタインデーになるとCGクリエイターがこぞって「リアルなチョコレートをCGで作ってみた」という投稿をし始めたことだ。

ぼくはこの光景と全く同じものを最近でも見た。それは激辛ペヤングが発売されると、Youtubeのトレンドが「激辛ペヤング食べてみた」動画で埋め尽くされている光景だ。

これはもはや、自らの頭で何も考えていない、アルゴリズムの奴隷である。

今のAIブームに駆動されたタイムラインには全く同じか、それよりも醜悪な光景が広がっていると感じる。タイムラインに流れてくる新しいツールに乗り遅れないように、または新しいツールを「試してみた」でいいねを稼ぎたいという承認欲求に対する渇望が渦巻き、みんな本当にそれが良いものなのか、フィルターバブルの中でマトモな判断能力を失っているようにしか見えない。

サブプライムローンの時のように、負債の対象が債権ならまだマシだが、今回負債の対象になっているのは人間の知性そのものだ。

今の時代は一貫性を保つことがすごく難しくなっている。あらゆるSNSのタイムラインはランダムフィードと化し、フォローやフォロワーといった概念とリーチが意図的に切り離されてしまった。そういう状況では、ショート動画に代表されるように、以前よりもさらにモノを作る人間は刹那的にならざるを得なくなっている。

ぼくがこのWEBサイトに年表のページを作り、フィードで過去の作品をさかのぼったり、タグや年数でフィルタリングできるようにしたのは、そうした状況に飲み込まれず、コンテキストや一貫性を維持できるように、という思いからだ。